福岡県の中心部に嘉麻市は位置する2017年現在で人口3万7千人という過疎化が進む市です。
株式会社かまは、そういった現状を打破すべく市民の出資により「地方金融×地方創生」を掲げて設立されました。
事業内容としては、「ライドシェア」、「自動運転実験場」、「再生可能エネルギー事業」、「越境地元農業EC」など、現在社会的にも注目されている分野での活動を主としています。
それらを通して地方創生の実用化マニュアルを作成し、他の地域にも貢献するという大きな目標を持つ企業です。

福岡県嘉麻市さくらまつりでの地域通貨実証実験

その中で新たな事業の一つとして発表されたのが、4月1日に開催されるさくらまつりにおける「ブロックチェーンを用いた地域通貨の実証実験」です。
簡単に言えば、「祭りの店舗での支払いに地域通貨を利用する」ということですが、そんなことをする必要があるのかと考える人も多いのではないかと思います。

まず、さくらまつりでの支払いの仕組みは、学校の文化祭で起用されるような「バザー券」を使ったものとなっています。
祭りに参加する市民は祭りの本部からバザー券を買い、それを店舗で利用。そして祭りの終了後に店舗が本部で精算する形です。
商品券を利用するメリットは、購買意欲や宣伝効果や資金効果などが挙げられますが、現在では商品券の利用価値は下がっていると言わざるを得ないでしょう。
それどころかいちいち券を買ってから買い物をすることに煩わしさを覚える人の方が多いかもしれません。

そこで株式会社かまは、このバザー券をブロックチェーンを用いた地域通貨にするというアイデアを導入しました。
ここでの地域通貨に関わる技術提供は株式会社NTTデータが担っています。

流れとしては、市民が対応アプリをダウンロードして地域通貨をチャージ、店舗でQRコードを利用して支払いをする。そして、本部が集計した収益を店舗へ精算します。
利用者はバザー券を財布から取り出すこともなく携帯電話をかざすだけで決済できます。
ブロックチェーン技術を用いることで取引記録を全て記録することができるため、リアルタイムで店舗ごとの利用状況を把握し分析することが可能。
精算に関してもわざわざバザー券の枚数を数える必要なく集計結果が出ます。
つまり、事務にかかる時間と労力を大幅にカットすることができるのです。

今回の実験では、極めて小さな規模での実験で地域通貨が実用的かどうかに焦点を当てられていますが、この検証により実用性を証明することができれば商用化することも検討されるでしょうし、もっと大きな規模での検証に繋がります。
将来的には広い分野で地域通貨の利用が可能になり、もしかしたら嘉麻市の仮想通貨を発行する…なんていうこともあり得るかもしれません。

現在、公共機関やコンビニなどでは電子マネーの導入が進んでいますが、そこにブロックチェーン技術を足すというイメージがわかりやすいかと思います。
電子マネーにブロックチェーンが導入されれば集計やマーケティングなども容易になり企業の利益になりますし、例えば、他のアプリと連携してより利用者の利便性を高めることもできます。

ブロックチェーン技術の可能性

こういった試みが地方から出てくるということには非常に意味があるでしょう。
都心部への人口流入により過疎化が進み、地方は元気が無くなっていると言われている昨今この地方創生に向けた取り組みは地方に住む人々にとっての活力になり得ます。
国は何もしてくれないと現状に悲観し絶望して傍観するのではなく、自らが行動して未来を切り開こうとすることが今の地方には重要なのだと示している例でもあります。

そして、これから様々な分野の企業の取り組みによってブロックチェーン技術がどれだけの可能性を秘めているのかということがますます明らかになっていきます。
仮想通貨や大企業だけが利用するものだという認識があるのならば、それは大きな勘違いで、こういった小さな地域や企業においても希望になる技術なのかもしれません。
最近では、仮想通貨界隈でのマイナスなニュースが取りざたされ、ブロックチェーン技術自体にもマイナスなイメージを持っている人が多くなっているように感じますが、その技術自体が悪ではないことは確かです。
このように前向きなニュースが多く出てくることで一般の認識も変わっていき、我々の生活により身近なものになっていくのではないでしょうか。

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